アグリッパ・ゆうきの読書日記12: 精神障がい者家族への偏見が垣間見られる『造反有理 ー精神医療現代史へ』という本

●『造反有理 精神医療現代史へ』 立岩真也 (著)、青土社、2013 精神障がい者家族への偏見が垣間見られる 評者はかねがね、精神科医が家族の蒙る暴力の問題に無関心なのは、患者家族をバカにしているからではないか、という疑いを抱いていたものです。この疑…

アグリッパ・ゆうきの読書日記11:『精神障がい者の家族への暴力というSOS』で考える家族への差別

『精神障がい者の家族への暴力というSOS――家族・支援者のためのガイドブック』 ( 蔭山 正子 (著, 編集) 、明石書店 2017 【精神障がい者差別の背景にある精神障がい者家族への差別が見えてきた】世界的に見ても画期的な本です。それは「はじめに」の次の…

アグリッパ・ゆうきの読書日記10:ブルデュー著『ホモ・アカデミクス』は、学界におけるマルクス主義支配の過去という日仏共通のテーマへの手がかりを与える

『ホモ・アカデミクス 』ピエール・ブルデュー (著), 石崎 晴己 (訳)、藤原書店、1997 標題のようなテーマへの手がかりが散りばめられている。 そんな一節を、忘れないうちに引用しておこう。 「‥‥学問的に時代遅れになった生産者たちが、学問的業績に対す…

アグリッパ・ゆうきの読書日記9:サヨクからの脱カルトカウンセリングにヒントを与える『日本共産党と中韓 - 左から右へ大転換してわかったこと -』

筆坂 秀世『日本共産党と中韓 - 左から右へ大転換してわかったこと -』 (ワニブックスPLUS新書) – 2015/6/8 著者と同世代で、大学紛争を通じてサヨク勢力の実態を、内側からも外側からもつぶさに見て来た者として、すでに知っていることもあったが共感すると…

学術会議は北朝鮮か

■学術会議問題 数日前、世田谷の家で造園家の方に庭の手入れをして貰っていると、私の職業(元の)について近所から聞きつけていたらしく、日本学術会議会員の選任拒否の問題をどう思うか訊かれた。私は、20年前に某学会の役員をしていた時に、学術会議会…

アグリッパ・ゆうきの読書日記8『日本共産党vs.部落解放同盟』反差別運動が行き着く隘路と革命運動が行き着く袋小路の共通項

【反差別運動が行き着く隘路と、革命運動が行き着く袋小路の、共通項】 『日本共産党vs.部落解放同盟』筆坂 秀世・宮崎 学 (著) (モナド新書) 2010 反差別解放運動にせよ、プロレタリア解放運動(=社会主義革命運動)にせよ、あらゆる形の解放運動が、現代…

アグリッパ・ゆうきの読書日記7『べてるの家の「当事者研究」』読むのが辛い(当事者家族として)

【読むのが辛い(当事者家族として)】 『べてるの家の「当事者研究」』 浦河べてるの家 (著)、医学書院、2005 読むのが辛いです。 特に「爆発系の研究」の章が。 イラストに、お母様らしい女性の頭にコブが描かれていますね。 母親を殴ってはいけません。 …

アグリッパ・ゆうきの読書日記6『中核VS革マル』立花 隆  (著) (講談社文庫)

『中核VS革マル(上)』立花 隆 (著) (講談社文庫) 1983 【この時代の亜インテリ(マスコミ人士)に共通の幻想を脱しえていない証言に期せずしてなってしまった】 うーん、これが時代と言うものでしょうか。せっかくの力作ですが、読むのが遅れすぎたため、「…

アグリッパ・ゆうきの読書日記5『フーコー入門』フーコーの思想も生涯もそして本書も無益な受難ではないのか

【フーコーの思想も生涯もそして本書も無益な受難ではないのか】 『フーコー入門』中山 元 (著) (ちくま新書) 1996 フーコーは初期の精神医学批判と晩期の性の歴史しか知らなかったので、全体像を知るのに手頃だと思い、読んでみた。分かりやすくしかもレベ…

アグリッパ・ゆうきの読書日記4『メディアと知識人』(竹内 洋)日本の社会科学のいい加減さがわかる

『メディアと知識人 - 清水幾太郎の覇権と忘却』竹内 洋 (著) 中央公論新社 2012 【日本の社会科学のいい加減さがわかる】 傍系的知識人だった清水幾太郎を正系的知識人丸山真男と対比させて描いている。 最初の方で印象に残ったのは、丸山の戦後すぐの講演…

アグリッパ・ゆうきの読書日記3『精神病棟の二十年』松本 昭夫 (著) 2001 (新潮文庫)

『精神病棟の二十年―付・分裂病の治癒史』 (新潮文庫) 2001 松本 昭夫 (著) うーん、タイトルから20年間、精神病棟に閉じ込められっぱなしと想像していたのに、出たり入ったり。そして、まだ入院中から再就職の活動をして、しかも、営業マンなどという、どう…

こころの科学とエピステモロジー、研究ノート:科学的根拠(Evidence)という規範の起源

科学においてエヴィデンスがあるとは、 1.観察の公共性 2.観察の再現性 という二本柱からなると考えられている。けれども、これらを規範として最初に定式化したのが誰であるかは、あまりにも常識になり過ぎて、はっきりしない。 最近、『精神医学の科学…

前回都知事選(2016)での小池百合子候補への社民党による差別的攻撃を思い出す

都知事選は小池百合子さんの圧勝に終わりました。よかったですね。 前回都知事選で、社民党党首による差別主義的攻撃を受けた時から、小池百合子支持を決めていましたから(都民ではないですが)。 差別主義的攻撃というのは、現在の社民党党首である福島瑞…

手作りの科学としての夢研究No4

■12 夢事例4「子犬が蝉になる夢」 ●夢事例4 「子犬が蝉になる夢」 2019年12月4日(金)。前の方は憶えていない。 子犬のような何かと友だちになったのだった。 そのうち、その何かは、ビニール製の犬小屋のような中に籠ってビニール製の壁にくっつき(図省…

手作りの科学としての夢研究No3

【手作りの科学としての夢研究No2】から続く。 10 夢事例2「海の彼方からの侵略で逃げ惑う夢」 続いて事例2を分析する。この事例を含めて、夢事例1から夢ブログにアプロードされた5つの事例をすべて分析することにする。論文に書く場合、とかく、「サン…

アグリッパ・ゆうきの読書日記2『転生したらスライムだった件』のヒロイン、リムルの正体

今まで、川上泰樹の漫画版(第1-15巻、講談社シリウスブックス)の作画の魅力にだけ目を奪われていたけれど。 漫画版第2巻。初めて性別無き幼女形に擬態 漫画版第3巻オーガ族との闘い。やはり、小説版挿絵やアニメ版と比べても、漫画版でのリムルの愛ら…

手作りの科学としての夢研究No2

6. 夢分析その1:ユングの物語構造分析 そしていよいよ、夢分析にとりかかる。 一般にわたしたちは、なぜこんな夢をみたのか、その意味を知りたい、と不思議に思うところから、夢に興味をもつようになることが多い。フロイトやユングの深層心理学的な夢分…

アグリッパ・ゆうきの読書日記1『異端カタリ派の歴史』

2020年5月11日。 最初に取り上げる本は『異端カタリ派の歴史』(ミシェル・ロクベール、武藤剛史/訳、講談社選書メチエ、2016)。756頁ある辞書のような分厚い本を、三週間かけて読了しました。 日本語で読める中ではカタリ派研究の決定版なのですが、読んで…

電子ジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』の最新号が発行されました

わたくし、アグリッパ・ゆうきが編集委員長をしている、 電子ジャーナル こころの科学とエピステモロジー 第2号(Vol.2)が、5月初頭に刊行されました。上記のリンクから各記事ダウンロードできます。続いて3号の為の原稿募集中です。詳しくは上記のリン…

現象学は学問の自由と民主主義の原理である

■この記事はココログ版「夢日記思索幻想日記」 の2014年記事「現象学は民主主義の原理であるhttp://fantastiquelabo.cocolog-nifty.com/blog/cat7968652/index.html」同じく、2008年記事「チベット問題に寄せてhttp://fantastiquelabo.cocolog-nifty.com/blo…

BSプレミアムで長門有希=茅原実里が歌っていた

■この前の日曜の夜(2010年3月22日、夜10時50~11時20分)、NHKBSプレミアムのアニソン特集で声優の茅原実里さんが出演するのを見ました。 『涼宮ハルヒの憂鬱』での長門有希役の役作りが、無口で無表情な少女ということで難しく、台本を電車の中でも開いて…

手作りの科学としての夢研究No1

1. 夢科学の最前線? 昨年末(2019年)にNHK Eテレの「サイエンスZERO」という番組に出演する機会があった(12月22日・28日)。 夢科学の最前線というテーマで、私を含め4人の研究者が、自分の研究を紹介しつつ語り合うというもの。といっても他の御三…