読書日記(2021/5/3)『当事者が語る精神障がいとリカバリー』で発見したゲームとホメロスの関係についての知見

■『当事者が語る精神障がいとリカバリー:続精神障がい者の家族への暴力というSOS』(YPSヨコハマピアスタッフ協会&影山正子、編著、明石書店、2018)を読む。ためになる一文をみつけたので、忘れないうちに引用しておく。 「ひきこもっていた時、テレビ…

研究日誌(2021/5/1)想像について

「「間身体性」の近さと隔たりー間身体性の倫理学の構想(2)ー」(坂本秀夫著、跡見学園女子大学文学部紀要、第54号:125-144、2019)を読むの巻 久しぶりに読み応えのある日本語論文に出会った。これまで私がいろんなところに書いた、自己の死と他者とは…

研究日誌(2012/3/26)「人は身体に生まれるのではない、身体になるのだ」

『身体を引き受ける』(ゲイル・サラモン著、藤高和輝訳、以文社、2019)を読んでいて、見出しのような面白い表現にであったので、抜き書きしておく。 「チャールズ・シェーファーソンは精神分析における身体の構成を、「小さな有機体がその身体を探し求める…

アグリッパ・ゆうきの読書日記(2021/3/20)『現象学とは何か』を読み、左翼の暴力性について思う

社会学出身の哲学者、西研さんに、『現象学とは何か』(河出書房新社)という共編著を贈られた。 西さん自ら書いた第2章「総論2」を読んでいて、「客観的真理を所持していると信じる者は、ときに暴力的になる」とあるくだりに目がとまった。 前後関係から…

研究日誌(2021/3/14):サルトルの他者論

Zahavi, D. Beyond empathy: Phenomenological approaches to intersubjectivity. Journal of Consciousness Studies, 8, No.5-7, 2001, 151-167 を読む。サルトルの他者論をハイデガーより高く評価するのは有り難いが、サルトルを学生の頃初めて読んだとき…

研究日誌(2021/3/9):ミシェル・アンリによるフッサール他者論検討1

‥‥それは現前化されず、ただ表-象[再-現前化]され、付帯現前化されるだけである。それが他人なのである。まさしくこれが、知覚的経験と他人についての経験との有田にある差異である。第一の経験においては、対象の裏面はいつでも表面になりうる。第二の経…

研究日誌(2021/3/8):夢日記・ギリシャ悲劇『トロイアの女』・時間を異にした私

■2021年3月8日。朝。夢を見た。 長い夢だった。 最後の方では学科の記念行事か何かで、元教員として、自転車に乗ってパレードに参加していた。 私の前を行くのはST。色んなノウハウを知っているので、頼りにしている(このあたり、学科とは何の関係…

研究日誌(2021/3/1):『現実とは何か』

■『<現実>とは何か』(西郷甲矢人・田口茂、筑摩書房、2019)を読み始める。 まだ第1章だが、面白いくだりがあったので、引用しておく。 「観測者から独立である」といっても、一切観測されないのであれば、「物」として問題にすることさえできない。…

アグリッパ・ゆうきの読書日記16:恐竜の如く時代に取り残されたマルクス原理主義者の悲劇『東京大学学問論 』

東京大学学問論 佐々木 力 (著),作品社 2014 恐竜の如く時代に取り残されたマルクス原理主義者の悲劇 この著者はしきりにセクハラ冤罪を主張しているが、それにしては書くのを隠していることが少なからずある。その一つに、本書にも「労働者の力」として出て…

「学問の自由と民主主義のための現象学」が『表現の自由と学問の自由ー日本学術会議問題の背景』(社会評論社)の1章として出版された。

■2021年2月21日。 最近、「学問の自由と民主主義のための現象学」という一文を、下記のブックレットの第6章として執筆した。 寄川条路(編)、稲正樹・榎本文雄・島崎隆・末木文美士・不破茂・山田省三・渡辺恒夫(著)『表現の自由と学問の自由―日…

研究ノート/2021/1/21

●ヤスパース『精神病理学原論』 「もうかなりまとまりのない患者はこう述べた。『私には安らぎはこれっぽちおなくなってしまい、何千年もさまよい廻って、知らないうちにくりかえし生れ変っているのだが、こうなるのは世界の創造の力によるのだ。』(p.72) …

アグリッパ・ゆうきの読書日記(15):『2人だけが知っている世界の秘密』は、極左の成れの果てはユダヤ陰謀論の見本だ

『2人だけが知っている世界の秘密』太田 龍 (著), デーヴィッド・アイク 成甲書房 2009 いまでは著者太田竜の正体を知らない人が多いようだが、中核・革マルの前身である日本トロキスト連盟の創設者の一人。70年安保騒動の時には、プロレタリア軍団なる暴力…

アグリッパ・ゆうきの読書日記14:『幻想の過去ー20世紀の全体主義』(フランソワ・ヒュレ)は日本ではあり得ない大変な労作!

『幻想の過去―20世紀の全体主義』 フランソワ フュレ (著), バジリコ、2007おそろしくぶ厚いが、著者の(そして多分訳者の)流麗な文体が、分量を感じさせない。 それでも一気には読めず、時々数章を拾い読みしているが、時々、引用したくなる箇所にであう。…

アグリッパ・ゆうきの読書日記13:極左全体主義勢力と対峙し続けた著者の気概『巨大なる空転 日本の精神科地域処遇はなぜ進まないのか―昭和40年代精神神経学会「混乱」の再検討』

極左全体主義勢力と対峙し続けた著者の気概 『巨大なる空転 日本の精神科地域処遇はなぜ進まないのか―昭和40年代精神神経学会「混乱」の再検討』 中澤 正夫 (著) 風媒社、2017 評者はかねがね日本の地域精神医療体制はなぜこんなに貧しいのかといぶかってい…

アグリッパ・ゆうきの読書日記12: 精神障がい者家族への偏見が垣間見られる『造反有理 ー精神医療現代史へ』という本

●『造反有理 精神医療現代史へ』 立岩真也 (著)、青土社、2013 精神障がい者家族への偏見が垣間見られる 評者はかねがね、精神科医が家族の蒙る暴力の問題に無関心なのは、患者家族をバカにしているからではないか、という疑いを抱いていたものです。この疑…

アグリッパ・ゆうきの読書日記11:『精神障がい者の家族への暴力というSOS』で考える家族への差別

『精神障がい者の家族への暴力というSOS――家族・支援者のためのガイドブック』 ( 蔭山 正子 (著, 編集) 、明石書店 2017 【精神障がい者差別の背景にある精神障がい者家族への差別が見えてきた】世界的に見ても画期的な本です。それは「はじめに」の次の…

アグリッパ・ゆうきの読書日記10:ブルデュー著『ホモ・アカデミクス』は、学界におけるマルクス主義支配の過去という日仏共通のテーマへの手がかりを与える

『ホモ・アカデミクス 』ピエール・ブルデュー (著), 石崎 晴己 (訳)、藤原書店、1997 標題のようなテーマへの手がかりが散りばめられている。 そんな一節を、忘れないうちに引用しておこう。 「‥‥学問的に時代遅れになった生産者たちが、学問的業績に対す…

アグリッパ・ゆうきの読書日記9:サヨクからの脱カルトカウンセリングにヒントを与える『日本共産党と中韓 - 左から右へ大転換してわかったこと -』

筆坂 秀世『日本共産党と中韓 - 左から右へ大転換してわかったこと -』 (ワニブックスPLUS新書) – 2015/6/8 著者と同世代で、大学紛争を通じてサヨク勢力の実態を、内側からも外側からもつぶさに見て来た者として、すでに知っていることもあったが共感すると…

学術会議は北朝鮮か

■学術会議問題 数日前、世田谷の家で造園家の方に庭の手入れをして貰っていると、私の職業(元の)について近所から聞きつけていたらしく、日本学術会議会員の選任拒否の問題をどう思うか訊かれた。私は、20年前に某学会の役員をしていた時に、学術会議会…

アグリッパ・ゆうきの読書日記8『日本共産党vs.部落解放同盟』反差別運動が行き着く隘路と革命運動が行き着く袋小路の共通項

【反差別運動が行き着く隘路と、革命運動が行き着く袋小路の、共通項】 『日本共産党vs.部落解放同盟』筆坂 秀世・宮崎 学 (著) (モナド新書) 2010 反差別解放運動にせよ、プロレタリア解放運動(=社会主義革命運動)にせよ、あらゆる形の解放運動が、現代…

アグリッパ・ゆうきの読書日記7『べてるの家の「当事者研究」』読むのが辛い(当事者家族として)

【読むのが辛い(当事者家族として)】 『べてるの家の「当事者研究」』 浦河べてるの家 (著)、医学書院、2005 読むのが辛いです。 特に「爆発系の研究」の章が。 イラストに、お母様らしい女性の頭にコブが描かれていますね。 母親を殴ってはいけません。 …

アグリッパ・ゆうきの読書日記6『中核VS革マル』立花 隆  (著) (講談社文庫)

『中核VS革マル(上)』立花 隆 (著) (講談社文庫) 1983 【この時代の亜インテリ(マスコミ人士)に共通の幻想を脱しえていない証言に期せずしてなってしまった】 うーん、これが時代と言うものでしょうか。せっかくの力作ですが、読むのが遅れすぎたため、「…

アグリッパ・ゆうきの読書日記5『フーコー入門』フーコーの思想も生涯もそして本書も無益な受難ではないのか

【フーコーの思想も生涯もそして本書も無益な受難ではないのか】 『フーコー入門』中山 元 (著) (ちくま新書) 1996 フーコーは初期の精神医学批判と晩期の性の歴史しか知らなかったので、全体像を知るのに手頃だと思い、読んでみた。分かりやすくしかもレベ…

アグリッパ・ゆうきの読書日記4『メディアと知識人』(竹内 洋)日本の社会科学のいい加減さがわかる

『メディアと知識人 - 清水幾太郎の覇権と忘却』竹内 洋 (著) 中央公論新社 2012 【日本の社会科学のいい加減さがわかる】 傍系的知識人だった清水幾太郎を正系的知識人丸山真男と対比させて描いている。 最初の方で印象に残ったのは、丸山の戦後すぐの講演…

アグリッパ・ゆうきの読書日記3『精神病棟の二十年』松本 昭夫 (著) 2001 (新潮文庫)

『精神病棟の二十年―付・分裂病の治癒史』 (新潮文庫) 2001 松本 昭夫 (著) うーん、タイトルから20年間、精神病棟に閉じ込められっぱなしと想像していたのに、出たり入ったり。そして、まだ入院中から再就職の活動をして、しかも、営業マンなどという、どう…

こころの科学とエピステモロジー、研究ノート:科学的根拠(Evidence)という規範の起源

科学においてエヴィデンスがあるとは、 1.観察の公共性 2.観察の再現性 という二本柱からなると考えられている。けれども、これらを規範として最初に定式化したのが誰であるかは、あまりにも常識になり過ぎて、はっきりしない。 最近、『精神医学の科学…

前回都知事選(2016)での小池百合子候補への社民党による差別的攻撃を思い出す

都知事選は小池百合子さんの圧勝に終わりました。よかったですね。 前回都知事選で、社民党党首による差別主義的攻撃を受けた時から、小池百合子支持を決めていましたから(都民ではないですが)。 差別主義的攻撃というのは、現在の社民党党首である福島瑞…

アグリッパ・ゆうきの読書日記2『転生したらスライムだった件』のヒロイン、リムルの正体

今まで、川上泰樹の漫画版(第1-15巻、講談社シリウスブックス)の作画の魅力にだけ目を奪われていたけれど。 漫画版第2巻。初めて性別無き幼女形に擬態 漫画版第3巻オーガ族との闘い。やはり、小説版挿絵やアニメ版と比べても、漫画版でのリムルの愛ら…

アグリッパ・ゆうきの読書日記1『異端カタリ派の歴史』

2020年5月11日。 最初に取り上げる本は『異端カタリ派の歴史』(ミシェル・ロクベール、武藤剛史/訳、講談社選書メチエ、2016)。756頁ある辞書のような分厚い本を、三週間かけて読了しました。 日本語で読める中ではカタリ派研究の決定版なのですが、読んで…

電子ジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』の最新号が発行されました

わたくし、アグリッパ・ゆうきが編集委員長をしている、 電子ジャーナル こころの科学とエピステモロジー 第2号(Vol.2)が、5月初頭に刊行されました。上記のリンクから各記事ダウンロードできます。続いて3号の為の原稿募集中です。詳しくは上記のリン…