BSプレミアムで長門有希=茅原実里が歌っていた

■この前の日曜の夜(2010年3月22日、夜10時50~11時20分)、NHKBSプレミアムのアニソン特集で声優の茅原実里さんが出演するのを見ました。

涼宮ハルヒの憂鬱』での長門有希役の役作りが、無口で無表情な少女ということで難しく、台本を電車の中でも開いては色々考えたとか、長門キャラソンの「雪、無音、窓辺にて」を歌ったことがきっかけになって、歌手への道が開けたといった、興味深い話が聴けました。

 そして、この歌を、長門有希が主人公のキョンに自分の正体を、銀河を統括する情報統合思念体によって作られたヒューマノイド型インターフェースであることを明かす場面の、映像を背景に歌ってくれました。 
 私はこの歌が数多いアニソンの中でも一番のお気に入りで、三日と空けずに聞いているほどなので、感激でした。

 ♪音の無い世界に舞い降りた I was snow♪
 で始まる、勇壮でしかも切ない歌詞が、長門有希の生をドラマチックに縮約しているのです。隠れた神曲と呼ぶにふさわしいのです。
 ちょっと残念だったのは、時間不足のためか短縮版で歌われていて、 
 ♪色の無い世界で見つけた You are star♪
 を含む節が省かれていたこと。   
 それまでは観測対象に過ぎなかったこの世界が、キョンと出会うことによって色彩に溢れていることに気づくという、大事な場面を歌っているのに。
 ちなみに連載中の『長門有希詩篇Ⅲ(運命が扉を二度叩いた日:前編)でも、この場面を感動的(?)に歌い上げています。ご参考までに、以下引用します~

 その瞬間、わたしは理解した。Nagatoyuki_megane2_20200401003301
 今まで、色のない世界にいたことを。
 あなたからの目に見えない光を受けて、
 たった今、世界に色が与えられたことを。
 You are star
 色のない世界で見つけたの You are star
 I was snow
 星のない夜に、ひとひらの雪として
 この惑星に舞い降りた
 I was snow
 You are star

 それにしても、長門NHKテレビのようなメジャーな場でクローズアップされたのも嬉しいことでした。オタクの間では断トツ人気を誇るのに、『空想世界構築教本』のようなオタク書では「ゼロ年代の女神」とまで呼ばれていたのに、それだけにかえってオモテ世界では無視されているような気がしていただけに、ますます。

 ちなみに長門人気の秘密については、4月末日に第2号が刊行される予定の電子ジャーナル
こころの科学とエピステモロジー』の「映像メディア時評」中で、
「二次創作がひらくオタク時代の死生観ーー長門有希とはだれのことか」と題する拙文でも、考察しています。

⇒画像はウェブ上に現れた「長門有希」(ニコニコ静画:投稿者、お徳用さんhttp://seiga.nicovideo.jp/seiga/im4679777


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