アグリッパ・ゆうの読書日記7『べてるの家の「当事者研究」』読むのが辛い(当事者家族として)

【読むのが辛い(当事者家族として)】

べてるの家の「当事者研究」』 浦河べてるの家 (著)、医学書院、2005

 読むのが辛いです。
 特に「爆発系の研究」の章が。
 イラストに、お母様らしい女性の頭にコブが描かれていますね。
 母親を殴ってはいけません。
 私の兄は、二度目の退院後、25年間、両親と同居を続けていましたが、
父が認知症がひどくなって入院したとたんに、
父の介護疲れで寝込んでしまった母に、暴力を振るうようになったので入院させました。
 保健所にも相談したけれど、強制入院は人権問題になるからといって逃げ腰なので、費用はかさむが民間の、精神病患者でも扱うという移送業者を呼んで入院させました。
 私は遠方に住んでいて自分の家族もいますが、二、三日前から親の家に泊まり込み、移送車に同乗して入院手続きを済ませました。
 15年前のことです。一生忘れません。
 その後両親とも世を去り、今の私の願いを正直に言えば、病院が死ぬまで兄を置いてほしいということと、兄より長生きしたいということです。
 成年後見人をしていますが、万一私が先に死ぬようなことがあっても、妻に託すわけにもいかないし、まして娘たちにさせるわけにもいきません。
 精神病院のベット数を減らして地域で暮らせるようにすべきだといった論調を目にするたびに、血の気が引いてしまいます。
 現状では、そんなことをやれば、家族の負担が増えるだけなのに。
 まとまりのつかないことを書いてしまいましたが、他のレビュアーの方も書いていられたように、死に物狂いで病気を茶化そうとしている。それ自体は素晴らしいことで、自己の人格から症状を分離する、外在化の成功例だと思います。
 SSTも役立っているようですね。
 兄弟姉妹の会に出ていた頃、講習があったのですが、日程が合わなくて出られず仕舞いだったことが、今更ながら残念です。
 でも、読んでいるうちに、辛くなってくる本です。

(2015年5月5日)