アグリッパ・ゆうの読書日記(2023/2/5)『精神破壊:うつ~統合失調症~入院~回復までの道のり』を読む

■『精神破壊:うつ~統合失調症~入院~回復までの道のり』(守門丈・守門紀著、東京図書出版、2018)を読む。

「‥‥子供の友達を泥棒と思い込むのは毎度のことであり、‥‥妻にとっては仕方のないことかもしれない。現実の記憶と想像したことの区別がつかないのだから。」(p.40)

「妄想の出るパターンはきまっており、朝起きた時「夢」がそのまま妄想になることや、今のパートで品出しの仕事中に物思いにふけり、それがそのまま妄想になるパターンである。」(p.44)

「‥‥最近気になる症状は、自分が想像したり勝手に作り上げたりした現実には起きていない妄想が現実の記憶と混同され、それを理由に人を恨んだりしていることである。私が富山県と石川県に仕事で毎週出張に行っていた時、石川県でとても仕事でお世話になっていた人の奥さんと私が浮気したというのである。」(p.68)

 つまり、フッサール想像論で解釈すると、統合失調症の妄想は、純粋想像(空想)から、「現実ではない」という非定立的意識が剥がれ落ちて、夢に似て一重の志向的意識構造になり、「再想起」や「現在想起」と区別がつかなくなったところに発生する、ということか。