今まで、川上泰樹の漫画版(第1-15巻、講談社シリウスブックス)の作画の魅力にだけ目を奪われていたけれど。
原作小説版も構想はなかなかすごい。第16巻まで読み進めて分かってきた。
以下、ネタバレになるが‥‥
これって、創造神の転落と再生の神話ではないの?
世界を創造した竜神が人間の女性と交わった。するとその力のほとんどを生まれてくる子どもに奪われて、自分は人間の男性となって、人間としての寿命をまっとうして死んだ。ちなみにこの子どもこそ後に魔王ミリムとなる。
だから、失敗を反省し、やり直すために、異世界(つまりこの世界)に普通の人間の男性として転生し、37歳までゼネコンの社員三上悟をやり、事故で死んで、元の世界にスライムとして戻ってきた。
なぜスライムかというと、最弱の魔物からやりなおし、あまたの試練をへて元の地位まで復帰しなければならないから。
もう一つ、スライムは性別がないから。
創造神だけでなく、その妹弟にあたる三体の竜種も、みな、異性で失敗している。氷結竜ヴェルザードは悪魔出身の最強魔王ギィに、灼熱竜ヴェルグリンドはミリムを生んだ女性の兄にあたる勇者ルドラに惚れた。そして暴風竜ヴェルドラは勇者クロエに「見惚れ負け」して封印されてしまった。
このスライム、リムルは、自分より強者でも取り込む。最初にヴェルドラを取り込み、次に異世界人で同郷の女性シズさんを取り込む。そしてこのシズさんのルックスをわがものにする。つまり、シズさんの顔をした美少女(ただし体は無性のままの)に擬態できるようになる。
ヴェルドラを取り込んで得た力と、シズさんを取り込んで得た魅力、そしてもちろん、サラリーマン男性としての仕事の経験を活かし、魔物の国の主へとのし上がり、やがて最強魔王へと進化する‥‥。
もちろん、Web版は読んでないので、単行本版15巻目で、ヴェルグリンドが闘いの最中にふっとそんな気がしてきた、というところで、私もそんな気がしてきた、という段階なのですが。