アグリッパ・ゆうの読書日記(2023/12/9~2024/1/6)『悪魔の処方箋』で当事者家族が訴える向精神薬の恐ろしさ

■『「今までありがとう、これからもお願い」: 精神科医療に翻弄された父親の12年の闘い 』(2022)、『悪魔の処方箋』(2023).ともに吉村敏男著、Kindle版.Amazon Services International LLC.を読む。

 色んな意味で震撼させられる本だ。

 ADHDの傾向のある男の子が、12歳で処方された向不安薬を服用したその夜から騒ぎ立てるようになった。
 ネットで調べると副作用に「刺激・興奮云々」とあるので主治医にかけ合うが相手にされない。そのうち、「別人のようだ」という気がしてくる。

 色々独学で調べて考え抜いて、すべての向精神薬統合失調症様の症状をもたらすことを突き止める。また、人格とはパソコンでいうOSに当たり、統合失調症向精神薬はそのOSを破壊する。だから治療とは新しく誕生したOSを「育て直す」ことに他ならない。

 そして理解しがたい殺人事件の犯人の多くに通院歴があることは(目下裁判中の京アニ事件の例も挙がっている)、病気の再発ではなく服用した向精神薬の副作用と解釈できるという。

 極端で軽率な表現も災いしてか、この2書には現在までどんな反響もないようだ。

 けれど、少なくともこのような本が当事者家族の手で書かれねばならないほどに、薬物療法および雁行するDSM精神医学の行き詰まりは、いまや明白と思える。

 特別印象に残った部分として、元農水省次官の家で起きた事件に関する論評から、抜粋した文章を、次回の記事に載せることにする。