研究日誌
■もう一週間前になるが、京大霊長研所属(今年度定年退職)の心理学者正高信男氏に論文不正があったことが大学側の調査で判明したというニュースを読んだ。 ああ、やっぱり、と思った。氏の著書といえば、数年前に自分のコミュ障研究の必要性から、『コミュ…
■Paul Ricoeur, "Hermeneutics and the human sciences: Essays on language, action and interpretation"(Edited,translated and introduced by J. B. Thompson, Cambridge: Cambridge University Press, 1981)からの引用を続ける。 4. The hermeneutical…
■Paul Ricoeur, "Hermeneutics and the human sciences: Essays on language, action and interpretation". Edited,translated and introduced by J. B. Thompson, Cambridge: Cambridge University Press, 1981. リクールの1980年頃までの著作をまとめた便…
「理論物理学で現在人気のテーマは、単純さ、自然さ、そしてエレガントさだ。これらの言葉は、厳密に言えば、恒久的な定義を得ることは決してないし、私も本書でこれらを定義しようと試みるつもしはない。これらの言葉がいまどのように使われているかという…
■『明日からネットで始める現象学:夢分析からコミュ障当事者研究まで』(渡辺恒夫著、新曜社、2310円)が6月20日に発売になったので、お知らせします。 差し支えない範囲で、「はじめに」の冒頭部分を以下に引用します。 【はじめに】 心理学というと親しみ…
■1905-06年の講義「想像と映像意識」(Husserl, E. (1980). Phantasie und Bildbewusstsein, In E. Marbach (Ed.), Husserliana XXIII. The Hague: Martinus Nijhoff.)の原文を3度目に読み返している。ドイツ語力の不十分さを相変わらず嘆きながら。 フッ…
★★★新感覚のオープンアクセスジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』3号(Vol.3)が公開されました。このサイト⇒ISSUES⇒第3号Vol.3から、全記事ダウンロードできます。2号までJ-Stage搭載を終わり、3号の搭載作業中です。 ■エディトリアル「心の科…
「「間身体性」の近さと隔たりー間身体性の倫理学の構想(2)ー」(坂本秀夫著、跡見学園女子大学文学部紀要、第54号:125-144、2019)を読むの巻 久しぶりに読み応えのある日本語論文に出会った。これまで私がいろんなところに書いた、自己の死と他者とは…
『身体を引き受ける』(ゲイル・サラモン著、藤高和輝訳、以文社、2019)を読んでいて、見出しのような面白い表現にであったので、抜き書きしておく。 「チャールズ・シェーファーソンは精神分析における身体の構成を、「小さな有機体がその身体を探し求める…
Zahavi, D. Beyond empathy: Phenomenological approaches to intersubjectivity. Journal of Consciousness Studies, 8, No.5-7, 2001, 151-167 を読む。サルトルの他者論をハイデガーより高く評価するのは有り難いが、サルトルを学生の頃初めて読んだとき…
‥‥それは現前化されず、ただ表-象[再-現前化]され、付帯現前化されるだけである。それが他人なのである。まさしくこれが、知覚的経験と他人についての経験との有田にある差異である。第一の経験においては、対象の裏面はいつでも表面になりうる。第二の経…
■2021年3月8日。朝。夢を見た。 長い夢だった。 最後の方では学科の記念行事か何かで、元教員として、自転車に乗ってパレードに参加していた。 私の前を行くのはST。色んなノウハウを知っているので、頼りにしている(このあたり、学科とは何の関係…
■『<現実>とは何か』(西郷甲矢人・田口茂、筑摩書房、2019)を読み始める。 まだ第1章だが、面白いくだりがあったので、引用しておく。 「観測者から独立である」といっても、一切観測されないのであれば、「物」として問題にすることさえできない。…
■2021年2月21日。 最近、「学問の自由と民主主義のための現象学」という一文を、下記のブックレットの第6章として執筆した。 寄川条路(編)、稲正樹・榎本文雄・島崎隆・末木文美士・不破茂・山田省三・渡辺恒夫(著)『表現の自由と学問の自由―日…
●ヤスパース『精神病理学原論』 「もうかなりまとまりのない患者はこう述べた。『私には安らぎはこれっぽちおなくなってしまい、何千年もさまよい廻って、知らないうちにくりかえし生れ変っているのだが、こうなるのは世界の創造の力によるのだ。』(p.72) …
■学術会議問題 数日前、世田谷の家で造園家の方に庭の手入れをして貰っていると、私の職業(元の)について近所から聞きつけていたらしく、日本学術会議会員の選任拒否の問題をどう思うか訊かれた。私は、20年前に某学会の役員をしていた時に、学術会議会…
科学においてエヴィデンスがあるとは、 1.観察の公共性 2.観察の再現性 という二本柱からなると考えられている。けれども、これらを規範として最初に定式化したのが誰であるかは、あまりにも常識になり過ぎて、はっきりしない。 最近、『精神医学の科学…
わたくし、アグリッパ・ゆうきが編集委員長をしている、 電子ジャーナル こころの科学とエピステモロジー 第2号(Vol.2)が、5月初頭に刊行されました。上記のリンクから各記事ダウンロードできます。続いて3号の為の原稿募集中です。詳しくは上記のリン…
■この記事はココログ版「夢日記思索幻想日記」 の2014年記事「現象学は民主主義の原理であるhttp://fantastiquelabo.cocolog-nifty.com/blog/cat7968652/index.html」同じく、2008年記事「チベット問題に寄せてhttp://fantastiquelabo.cocolog-nifty.com/blo…